
矢作 直樹 | Naoki Yahagi
足るを知る。感謝。
株式会社矢作直樹事務所 代表
昭和56年金沢大学医学部を卒業し医師になり、麻酔科を皮切りに救急・集中治療、内科、手術部などを経験。平成11年東大工学部精密機械工学科教授。平成13年より東大医学部救急医学分野教授および東大病院救急部・集中治療部部長。平成28年3月31日、任期満了退任。株式会社矢作直樹事務所設立。
日本人がかつての死生観を思い出すことでより心安らかに暮らしてほしいと願い、『人は死なない』(バジリコ)、『天皇』(扶桑社)、『おかげさまで生きる』(幻冬舎)、『天皇の国』(青林堂)などの著書を著した。

今の時代、老弱男女ストレスに悩む方は多いと思います。知らず知らずのうちに心身に無理をさせてしまう生活をおくっている方は大勢いらっしゃるようです。つい頑張りすぎてしまうことがクセになっている、ということが思い当たる方も多いのではないでしょうか。
では、どうしたらそのような状況を改善できるか私の考えを述べさせていただきます。それは、「今この瞬間」を意識しようとすることです。
歩いているとき、家事をしているとき、机に向かっているとき、どんなときにでも、日常生活の動作ひとつひとつに心をこめて、今に意識を集中させることで心身がリラックスできると感じています。
この「今ここ」に意識を集中させることは、ずっと昔から日本人がやってきたことです。神道の「中今」という言葉がそれです。今を生ききることがたいせつということです。
人は毎日の慌ただしい生活の中で、どこか自分を抑えて本来の自分を隠しながら生きています。周囲の評価も気にしがちです。
私たちは、さまざまな理由で少しずつ自分の希望や願望を、いつかどこかに忘れてきてはいませんでしょうか。ありのままの自分を出せずに悩み苦しんできたのではないでしょうか。そんな状態が続くと、自分が疲れていることにも気づけなくなってしまいます。無理を続けると心身に不調もでてくることでしょう。
ですので、まずは自分の心身を開放することです。そして自分をとりもどしましょう。
日々の暮らしのなかでご自分の心身をだいじにする、感謝する、という気持ちを持てば、軽やかに生きてゆけるのではないでしょうか。