今回のインタビューは、永井洋子さんにお願いしています。
隔週で3回に渡って連載する、その2回目です。

永井洋子 (ながいようこ)
池坊正教授一級
フラワーデザイナー一級
フラワー装飾技能士一級
NFD講師
https://atelieryoko.net/index.html
—— 永井さんの代表作だと思いますけれど「ヴィーナス」、写真を拝見して、すごい触発されるというか、私もインスパイヤされる、なんかこう自分も一緒に海に向かって広がっていくような、そういう感じがする作品だなー、いつまでも見ていたいなーって思ったんですけれども。

永井:そうですか? 嬉しい。ありがとうございます。「ヴィーナス」は作る時に、サーっと映像が浮かんできたんです。
—— はー!先に映像が浮かんできたんですか?
永井:そうなんです。ある方から本に出す作品を送って下さいって言われて、
ま、お金もかかるから何回も断っていたんですけど、写真で残すのも一理あるかもしれない。父と母にずっとお勉強させてもらっていただけでは申し訳ない、本になったら、両親に見せられるなーぐらいの感じなんですけど。
そこで、サーっと浮かんできた映像、海で、花がバンってあるんですけど、 バラ が、
カラーセラピーで学んだ、人間に必要な色というものを紫からこう暖かい色…
—— チャクラの色のことですか?
永井:そう、チャクラの色をバラで当てはめていけば、自然の美しさと共に、お花の力そして色の力で、見て下さった方がホッとできるんじゃないだろうかと思って、それを当てはめたんですね。
—— なるほどー!
永井:見て下さる方を思って作った作品を写真に収めるというのは意味があると思って、
じゃあお受けしますと。
—— そこから始まったんですねー。
永井:そこから始まったんです。そして、出すにあたって、ヴィーナスの他にも何点か作って載せました。そしたらまあ、他の方の作品とはまた全然違う作品だという評価を頂いて、素晴らしいから次の本も出して下さいって言われるんですけどそこでもお断りしていたんですが、2011年3月11日に大震災がありましたよね。その1年後のニュースで福島に1本残った桜の木に花が咲いたのを見られた方が、ー 絶望の中に光を見た、残ったお花で救われた ー とか、ー 1本残った松で頑張ろうと思った ー と語っているニュースを聞いて、花の力ってあるんだなって改めて感じて、向こうの人たちを応援するための作品集だったらいいですよと言ったら、出版社の人たちがそちらを応援する本にしますということで『きらめく女流作家たち』という作品集の中に「祈り」という作品を載せていただいたのです。その売り上げは全て寄付させていただきました。それも海で組んで作ったんですけど、桜の枝も持っていって、カメラマンの方に何枚か写していただき、最高の瞬間でシャッターを切った 次の波でお花はすべて流されたんです(笑)。

—— そうなんですか!水際じゃなくて、本当に水
の来る場所で!
永井:そうなんです。潮は満ちてきますから、作る
時は砂浜で作ってもだんだん満ちてくるんですね。
ずっと見ていて、あ、いい波だなーと思って写したら、次の波でもう流れた(笑)。それが「祈り」。
—— 桜の季節って限られていますから、桜でやろうとしたら、本当にもう狙ってこの時にとか。
永井:そうですね。最初の作品の時も、スモークトゥリーを使いたい、器も作るから5月しかできないけど、それまで待てますか?と言ったら、ほんとはその時は出版できてなくちゃいけないんですけれど「待ちます」って言って下さったので「じゃあ、出します」ってなりました。
—— あぁ。
永井:で次の時も桜でしたいと言って桜の季節に間に合うように作ったんです。
—— 桜でやることに意味があるわけだから…やっぱり季節にちゃんと人間が合わせるっていうか。
永井:そうです。草土出版で3冊くらい作り、8年ぐらいしてからそれを見た別の会社から電話が来て、「あー素晴らしいですね、この作品は」って言われて。作品を出展して下さいっていうことで、イギリスまで行くわけです。
—— イギリスに行くわけですね。
永井:イギリスでの作品展に出展させていただいて、そこでグランプリを頂いたんです。
—— 海っていうのが、私も僭越ながらど素人ですけれど写真集を拝見していて、他のアレンジの先生方のとは違うなとすごく思ったんですね。何かその海だったり、鉄の器の器作りから始められたり、永井さんの中の、そのあたりに何か大切にしているものがあるのかなと思うのですけれども。
永井: やはり海と空って、もう地球そのものじゃないですか。
—— あー、なるほどねー。
永井:それよりも大きいものってないですよね。母なる海って言ったりします。包み込まれる。もうこれ以上の優しさはないでしょう、それが海。空もね。眺めるのが大好きなんですよ、空を。だからそんな空間の中で私のお花が作れたら、なんて素敵!って思って。まあ海に、大きな器の中に、花がパーッとそのままのイメージでなぜだか降りてきたというのもあります。写真は動かないですが海で撮ることにより、波が時間の経過も表現してくれるんです。
本にも書いてあるんですけれど、ほんとにもう自然の優しさっていうか、海は母の愛そのもの。皆さんこれを見たら、優しい気持ちにもなれるし、なんか落ち着く。それをリビングだったり皆さんがいるところに飾っていただいたら、みんなずーっと静かにいられるんじゃないっていうものなんです(笑)。
—— あーわかる。心がなんていうか、、、
永井: 心が解き放たれる。ほんとにすべてが神様からの贈り物ですよっていうことです。海もそうだし空もそうだし花だってそうでしょう?それですよね。
—— まさにそういうお心がそこに表されているなーって私も今伺っていてそう思いました。是非皆さんにも見ていただけたらと思います。
永井: ありがとうございます。
(インタビュアー・長岡 純)
謹賀新年

【イベント情報】
①作品出展予定
2020年5月23日~5月27日:平和美術展(リトアニア共和国)
6月9日~6月28日 :ART BLEND(スイス Gallery Swiss Art Space)
7月29日~8月1日 :MINERVA 2020(イギリス MALL GALLERIES)
9月9日~9月13日 :平和美術展(京都市京セラ美術館別館2階)
②書籍掲載予定
2020年2月 「MINERVA 2020」
2月14日 発刊記念パーティ ホテルオークラ東京
9月 「日本藝術の創跡」(ラファエロ没後500年記念 ルネサンス)
③講演会
2020年4月5日 「五島秀一 福井特別講演会」 気の舞演舞 ゲスト出演